吉田K

98Y

他者理解

レヴィナスによると「他者を理解すること」は「他者の中に自分と似た点を探し気持ちや考え方を想像すること」ではなく「他者の、自分とは異なる背景・思考(他者性)を尊重すること」である。日本で他者理解といえば前者の文脈で語られることが多い(いじめられている人の気持ちになって考えなさい、等)が、そのことは社会に段々と同調圧力(似た点がある人が味方であるという考えに至る)をもたらし、やがて行きつくところには人は「他者に自分を見る」のではなく、もはや「自分に他者を見る(他人の表面的な振る舞い、趣味、嗜好、思考に自分のそれを擦り合わせる)」状態になる。今の社会の自己と他者の境界の曖昧さはそこから来ているような気がする。我々はもう一度他者とどう関わっていくか見直すべきではないか