旧ユーゴスラビア連邦の旅
約10日間くらいかけ旧ユーゴスラビア連邦(スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、モンテネグロ、コソボ、北マケドニア、セルビア)を旅してきた 移動方法は全て長距離バスだ 殆どのバスはネットで予約することができたが、いくつかは現地で購入した 当日のチケットも普通に購入することができたので、全て現地購入でも全く問題はなかったように思う
↑スロベニアの首都リュブリャナ 写真上に写っているのはリュブリャナ城
↑サラエボ事件の現場
↑サラエボの虐殺を伝えるギャラリー
↑サラエボにある境界線
↑コソボにある(実質的な)独立を記念したモニュメント
↑コソボのどことなくアジアを感じさせるマーケット
↑ギリシャ文化を前面に押し出している北マケドニアの首都ティラナ
特に印象深かったのはボスニア・ヘルツェゴビナの首都サラエボだ 戦争の爪痕が残る建物、民族の境界線を越えるとがらりと雰囲気の変わる街並み、紛争と虐殺の歴史を伝える博物館、そして第一次世界大戦勃発のきっかけとなったサラエボ事件の現場など見所が多かったからだ
もちろんサラエボだけでなくそれぞれの国が多様な民族や文化、宗教を抱えており、この国々がほんのつい最近まで一つの国だったという事実は信じ難いものだった
バルカン半島における五族協和状態のユーゴスラビアを纏めていたチトー大統領の死後各地で独立運動が勃興、それを抑圧し中央集権化を進めようと目論む大セルビア主義によって虐殺を含む悲惨な内戦が勃発し、つい20年前までそれが継続していたこの旧ユーゴスラビア連邦地域
その反省を生かし民族間融和が進んでいるかと思いきや、アルバニア人がその人口の殆どを占めるコソボでは近年急速に大アルバニア主義が台頭 首都プリシュティナは併合を求める隣国アルバニアの国旗で埋め尽くされていた
セルビアが未だ独立を認めておらず国連でも最終的な地位が未決定なコソボの暴走をきっかけに再び負の歴史が繰り返されないことを願いたい
ヨーロッパを長距離バスだけで旅したのでそれぞれの都市をレビューしてみる
現在フランスのリヨンという街に留学している。そこを拠点に長距離バスで旅行した国がある程度たまってきたので、一度ここでまとめてついでにレビューもしてみることにした。
以下に行き方は書いていないが、全てリヨンや他の都市から長距離バスを駆使して行ける都市である。ぜひ参考にしてほしい。
ブリュッセル🇧🇪(ベルギー)
総合:★★★★☆
ご飯:★★★★☆
観光:★★★☆☆
快適:★★★★☆
ベルギーワッフルは言わずもがな、肉とビールも格別の美味しさだった。
観光地はそんなに見る場所が多いわけではないが、建物は綺麗だし有名な小便小僧も見られるので満足度は高い 見所がコンパクトに纏まっているので全く疲れないし、清潔感があり治安も良いので好印象だった。英語はあまり通じないがどこも同じなのであまり評価には関係なし
アムステルダム🇳🇱(オランダ)
総合:★★★☆☆
ご飯:★☆☆☆☆
観光:★★★☆☆
快適:★★★★☆
アムステルダムはやっぱり文化の集積地なだけあり色んな国の食べ物が集まっている でも裏を返せばどれもアムステルダムじゃなくても食べられるということなので結局食べたのはコスパ重視のケバブ
観光地に関しては、レッドライト地区が印象的過ぎてそのイメージしか残っていないが、美術館が充実していたりアンネフランクの家があったりと学べることは多い アンネフランクの家は予約がかなり難しいので注意 個人的に次訪れる機会があれば必ず行きたいポイント なおトラムで大体回れるので観光地まで歩く必要がほぼないのはポイントが高い
ルクセンブルク🇱🇺
総合:★★☆☆☆
ご飯:★☆☆☆☆
観光:★★★☆☆
快適:★★☆☆☆
朝早くはどこの店もやってなくて寂しくマックに入った覚えしかない 振り返ってみても飯の写真が一つもない
冬はとにかく寒い ただ、遺跡は世界遺産なだけあって寒さを忘れるほどの迫力 街もコンパクトで見やすくそれなりに充実している
ただ繰り返すが、時期によってはひたすら寒い
ベルリン🇩🇪(ドイツ)
総合:★★★★☆
ご飯:★★★★☆
観光:★★★★★
快適:★★★☆☆
ドイツと言えばのソーセージとビール、やはり美味しい ドイツ料理はもっと食べてみたいと思える
また第二次世界大戦から冷戦にかけての歴史を学ぶのにこれ以上適した街はない、やはり一度は足を運ぶべき場所だ 日本と同じような歴史を辿っていながら、自国の行為への態度はまるで違う 日本人は自国の行為についてどれだけ無責任だろうと考えさせられる 一つ残念な点としては、観光するには地下鉄が微妙に使いづらいところが挙げられる
総合:★★★☆☆
ご飯:★☆☆☆☆
観光:★★★★★
快適:★★★☆☆
ただでさえ物価が安いのでファストフードが異常に安いのが印象的だった
アウシュヴィッツは必ず行くべき場所 ナチスについて軽率な発言を繰り返している日本人はここを訪れたら二度とそんなことを言えなくなるに違いない
クラクフの駅には大きいショッピングモールがあり時間を潰すには最適 またアウシュヴィッツまではバスで一本と分かりやすい ただクラクフまでのアクセスは良くないのでルート組みが難しい またユーロが全く使えないことにも注意が必要
総合:★★★☆☆
ご飯:★★★★★
観光:★★☆☆☆
快適:★☆☆☆☆
値段高めの店で食べたのもあるけどかなり料理が美味しい印象 ヨーロッパ旅行全体通しても美味しい方だったと思う
街は綺麗だけどそこまで見所はない 街を歩くと日本人女性だらけで驚く インスタの影響?
あと観光するにはとにかく歩く必要があり、高低差があるから結構疲れる
また、ここもユーロが使えない
総合:★★★☆☆
ご飯:★★★☆☆
観光:★☆☆☆☆
快適:★★★★★
現地料理が美味しい
あと謎に札幌ラーメンの店があり、入ろうか迷うほど立派な店構えだった
コンパクトな街で見所もないが人が多くない分落ち着いていて雰囲気はとても良い
基本一本道で大体見られるのもポイントが高い
ウィーン🇦🇹(オーストリア)
総合:★★☆☆☆
ご飯:★☆☆☆☆
観光:★★☆☆☆
快適:★★★☆☆
やたら美味しい日本食の店がある
あまり見るところはないが街は綺麗 モーツァルトの家はウィーンらしくて良い観光地だと感じた 展示の量に対してオーディオガイドが長すぎたのはご愛嬌 オペラを見ればもっと楽しめると思う
観光方法としては基本は歩きになる、ただある程度コンパクトに纏まっているからそこまで疲れることはない
総合:★★★☆☆
ご飯:★★★☆☆
観光:★★☆☆☆
快適:★★★★☆
正直これといった料理も見所もない、しかし惹き込まれる不思議な魅力を持っているのがブダペスト
西ヨーロッパよりもヨーロッパらしい美しい街並みをブダ城から一望できる
ブダ城までゴンドラで登れるのも嬉しい
パリ🇫🇷(フランス)
総合:★★★☆☆
ご飯:★★☆☆☆
観光:★★★★★
快適:★☆☆☆☆
パリの料理は高すぎるのでおすすめできない 観光客向けの店は入らない方がいい
ルーブル美術館は最高の美術館、パリに来たら必ず行くべき 近くのオルセー美術館も併せて行くとなお良し 一方でエッフェル塔や凱旋門はこんなものかという感じ
個人的にやれジレジョーヌだスリだ(盗まれてはいない)で精神と体力をすり減らしたので治安面の印象が悪い
リヨン🇫🇷(フランス)
総合:★★★☆☆
ご飯:★★★☆☆
観光:★★☆☆☆
快適:★★★★☆
西ヨーロッパを一通り回った後にようやくリヨンの料理を食べるとかなりの美味しさで驚いた やはりポールボキューズで知られる美食の街なだけある
観光名所はそこまであるわけではないがパリよりも本当のフランスらしいフランスを垣間見られる
また観光地はどれも駅から近く周りやすい
長距離バスのハブになっているのでアクセスが良いのも高評価
トゥールーズ🇫🇷(フランス)
総合:★★☆☆☆
ご飯:★★☆☆☆
観光:★★☆☆☆
快適:★☆☆☆☆
美食の街と呼ばれているらしいが乗り換えで滞在しただけなので時間がなくベトナム料理しか食べられなかった
街の雰囲気は良いが特筆すべき見所はない、というか個人的にジレジョーヌが催涙弾を目の前で投げてきたのが衝撃的すぎて他の全てが吹っ飛んでしまった
ローマ🇮🇹(イタリア)
総合:★★★★★
ご飯:★★★★★
観光:★★★★★
快適:★★★★☆
イタリア料理が最高なのは予想通り だが流石首都なだけあって種類が豊富 あと本場のジェラートが想像を超える美味しさ、必食
見るところがたくさんあって回るのは大変だがしかしどれも有名なものなので大満足間違いなし
治安はそこまで悪くないがスリには若干注意、ただそれは主要な観光都市ならどこの街でも同じ
主要な観光地を1日で全て回るとかなり歩き疲れるので必ず泊まるべき
ヴェネツィア🇮🇹(イタリア)
総合:★★★★☆
ご飯:★★★★☆
観光:★★★★☆
快適:★★★☆☆
イタリア料理はどこも段違いに美味しい
そしてこんな綺麗な街があるのかというくらいに水路と煉瓦のコントラストが美しい街 それ以上でもそれ以下でもないがそれでも行く価値があるくらい圧倒的
ただ、ただでさえ狭い道に観光客が多すぎるのと結構道が複雑で迷いやすいのは難点
バチカン市国🇻🇦
総合:★☆☆☆☆
ご飯:☆☆☆☆☆
観光:★★☆☆☆
快適:★☆☆☆☆
レストランはバチカン市国内にも一応あるようだがローマで食べた方がいい
展示や建物はそこまでの感動はないがそこそこ楽しめる
ただ国の入り口が詐欺師だらけで酷い これを放置しているのはいかがなものか
ジュネーブ🇨🇭(スイス)
総合:★★★☆☆
ご飯:★★★☆☆
観光:★★★☆☆
快適:★★☆☆☆
適当に入ったレストランが結構当たりだったのでおそらく他の店も美味しいと思われる チーズフォンデュなどが有名らしい
国連を見に行くかどうかで観光の充実度は大きく変わる 国連は実際に会議中の部屋を見られるなどかなり満足度の高いツアーだ ただかなり朝早くに行かないとチケットを取れないので大変
あとEU加盟国ではないのでFreeのSIMカードがそのまま使えない、まとめてヨーロッパ旅行をする人にとっては不便
バルセロナ🇪🇸(スペイン)
総合:★★★☆☆
ご飯:★★★☆☆
観光:★★★☆☆
快適:★★★★☆
シーフードパスタのムール貝がとても美味しかった印象、海沿いの街では海の幸を味わうのが一番だ
サグラダファミリアという素晴らしい観光名所があるだけでなく、街全体に南国の雰囲気が漂っていて他のヨーロッパの街とまるで雰囲気が異なるので、見て回るだけでも楽しめる バルセロナの試合を見られたらもっと楽めるだろう いい観光地
地下鉄が観光に使いやすいこととレストランの店員の人柄がとにかく良かったのが好印象 特に接客はヨーロッパで一番
アンドラ🇦🇩
総合:★★☆☆☆
ご飯:★★☆☆☆
観光:★★★★☆
快適:★☆☆☆☆
アンドラ料理というものがあるのかはよく分からないけど食べ物は普通に美味しい
このような小さい国は歴史的な街並みがそのまま残っていて訪れる甲斐がある、またタックスフリーなので一体がショッピングモールと化した地域があり買い物も充実しているという最高の街 スキーリゾートなので冬は冬で楽しめる
ただアクセスが悪いことと英語が全く通じないこと、EU加盟国ではないのでFreeのSIMカードが使えないことなどが不便
以上が現時点で訪れた国のレビューだ。来月には旧ユーゴスラビア圏をまわる予定なのでそちらもまた更新したい。
実感する世界史 現代史
実感する世界史 現代史 という本を読んだ。率直に言って、これほどまでに分かりやすく第二次世界大戦以降の世界の出来事が説明されている本をこれまでに見たことがない。よくある教科書や参考書のように覚えるべき歴史用語が羅列されているのではなく、まさに実感できるように一つ一つの歴史的出来事を当時の国際情勢や人物の動き、歴史的背景などから鮮やかに描いている。どんな人でもこの本を一度読むだけで世界の見え方が全く変わってくるだろう。とはいえ一度読み終えただけではまだまだ内容を全て噛み砕くことはなかなか難しい。私もまだ一度しか読めていないため、また時間を作り何度も読み返したいと思う。しかし確かにそうしたいと思える一冊である。
日本の農業はなぜ衰退したのか
日本や中国では現在、産業の発展に伴う農村の衰退、そして食糧自給率の低下が問題となっている。一方同じく先進国である米国は農作物輸出国であり続け、高い食糧自給率を維持している。ここには一体何の違いがあるのか?今回は農業の構造的相違について見ていきたい。
資本か、労働か
これには資本集約的農業と労働集約的農業の違いが関係している。これからこの二種類の農業の違いを説明していくが、まず前提として農業に必要な三要素は「土地」「資本」「労働」であるということを認識しておいていただきたい。
さて、資本集約的農業とは、「土地」に対して多くの「資本」を費やす(機械による農薬散布や収穫、灌漑設備の整備など)ことで農作物を生産しようという農業だ。米国に代表される資本集約的農業にはあまり多くの労働者が必要ないため、国の産業が発展し都市部や工場に多くの労働者が奪われるようになっても継続しやすく、むしろ技術の発展によってさらなる効率化が見込めるという特徴がある。
一方労働集約的農業とは、「土地」に対して多くの「労働」を費やすことで農作物を生産しようという農業だ。こちらは国の産業が発展すると都市部や工場に多くの労働者が奪われ農業が立ち行かなくなり、日本で見られるような農村の衰退が発生することとなる。
つまり日本や中国は後者の労働集約的農業であるため、農村の衰退や食糧自給率の低下が起こっている、ということができるのだ。
労働とコメ
さてここまでは、米国は資本集約的農業を採用し日本や中国は労働集約的農業を採用していることが違いとなっているということを説明してきた。しかしここでもう一つ疑問が浮かび上がってくる。なぜ日本や中国は資本集約的農業を採用しないのか?なぜ米国は労働集約的農業ではなかったのか?
実は、この疑問の答えは気候や食文化、人口密度と大きく関わっている。
米国と日本や中国の大きな違いは何か。それは気候だ。
米国には巨大な乾燥地帯が存在しており、乾燥地帯は小麦の生産に適している。小麦は面積あたりの収穫量やそこから得られるエネルギーが比較的少なく、人数を養うのに大量の生産が必要だ。よって小麦を主食とする地域は比較的人口密度が低いと言われている。現代でいう欧米諸国がこれに当たる。このような地域では、面積あたりの労働者数が少なくて済む資本集約的農業が発展する。
一方日本や中国が属するアジア地域は、モンスーンと呼ばれる季節風が多量の雨をもたらす地域だ。このような地域は米の生産に適している。米は面積あたりの収穫量やそこから得られるエネルギーが比較的多く、小麦と同じ収穫量で多人数を養うことができる。よって必然的に、米を主食とする地域では人数を生かすことのできる労働集約的農業が発展するのだ。
まとめ
日本や中国の農業の衰退には、気候・主食に起因する農業構造的問題が関わっていた。しかし農村の人口が減った今、日本でも最新技術を用いた資本集約的農業を行う農家が現れ始めているようだ。産業が高度に発展した現代日本だが、これからの農業にはまだまだ目が離せない。
表象と実態のずれ
ポストフォーディズム社会では実態が常に評価される。その評価は監査され、名声を広める(または落とす)のに用いられる。よって本質的に目標を果たすために行動するのではなく、目標を果たしているように表象(アピール)することを目標とするようになる。この連関は個人においても会社においても公的機関においても同様である。彼らは全員、表象と実態が乖離していることは知っているが、皆(想像上の他人)は知らないはずであるから言ってはならない、と了解している。
よって他人が知らないはずであるという前提が崩れた時(具体的には、誰かが公の場でそれを口に出した時など)、その実態なき表象は一気に崩壊する(実は社会主義の崩壊もまさにこのような流れで起こったものである)。